「一緒にやりましょうというメッセージだ」総合科学技術・イノベーション会議の勉強会でプレゼンしてきました

「一緒にやりましょうというメッセージだ」総合科学技術・イノベーション会議の勉強会でプレゼンしてきました


遅ればせながらサイエンストークス委員会からのご報告です。
2014年の1年をかけて、サイトやイベントでの意見聴衆を通じてみなさんと作り上げてきた第5期科学技術基本計画への提言を、2015年3月26 日、委員中心メンバーが実際に基本計画を作成している内閣府の総合科学技術・イノベーション会議(以下CSTI)の朝の勉強会で発表してきました。その模様を写真とともにダイジェストでお伝えします。

12
内閣府の正門前に集合するサイエンストークス委員会の委員メンバー。今回は6名で発表を行います。 左から宮川剛先生(藤田保健衛生大学)、湯浅誠さん(カクタス・コミュニケーションズ株式会社)、駒井章治先生(奈良先端科学技術大学院大学)、小山田和仁さん(政策研究大学院大学)、嶋田和義さん(JST)。広島大学から遠方出張で内閣府に向かう隠岐さや香先生を待っているところ。
11
内閣府入り口で、サイエンストークスの赤いロゴマークTシャツに着替える委員の皆さん。与えられた時間はたった15分。その短い時間で4テーマ、5名がスピーチするのでかなり時間がありません。
「どういう立ち位置と順番でいきますか?」
「5人で15分なので、EXILE(チューチュートレイン)方式でいきましょう」
メンバーが入れ替わり立ち代わり話すスタイルで準備を進めます。
1
総合科学技術・イノベーション会議(CSTI) の勉強会会場。第5期科学技術基本計画の作成にかかわる皆様が集まっています。 サイエンストークス委員会の発表メンバー5名がお揃いのサイエンストークスおなじみキャラ、平賀源内Tシャツを着て登場。 発表者は前方の席に着席。開始は10時半。皆さんが集まるのを待っています。後方には報道陣も詰めかけています。
2
CSTIの原山優子議員が開会の挨拶。「前半はサイエンストークスの皆さんです」 原山議員「今日はいつもと少し違った雰囲気ですが…。サイエンストークスとして活動する若手の皆さんによる提言の発表をしていただきます」
13
サイエンストークスのプレゼン発表者5名。トップバッターはカクタスの湯浅さん。「今原山先生にご紹介いただいたとおり、赤いTシャツを着たこの人達なんなんだろう、とお思いかも知れませんが(笑)」 会場に笑いが起きました。 湯浅さん、サイエンストークスとはどんな団体か、これまでの活動を1分で解説。「現場の研究や実務の若手である個人有志が中心となって行っている活動です。2013年の立ち上げ以来、様々なイベントやオンラインでの議論の場を作ってきました」。
14
GRIPSフェロー、小山田さんへバトンパス。2014年度の活動のテーマ「勝手に『第5期科学技術基本計画』みんなで作っちゃいました!」のこれまでの軌跡を紹介。

小山田さん、「サイエンストークスが実現したいことは、『ひと』を中心においた顔の見える科学の実現」です、とひとことで表現。
3
広島大学、隠岐さや香先生にバトンパス。隠岐先生は研究現場における「『ひと』の多様化」を実現するための具体的な事例や提案を伝えます。 当事者研究、マイノリティ、研究機関に所属しない研究者、市民など、様々な立場にある人が研究の主役になるためのサポート環境について具体的な事例を説明します。
4
藤田保健衛生大学、宮川先生にバトンパス。宮川先生はよい研究をするためには「『ひと』の評価と研究費システムの改善、キャリアパスの多様化」が必須と強く主張。 研究者を疲弊させるギャンブルのような研究費システムや、不安定な雇用により研究者がリスクを取らなくなる現状を訴えました。
5
環境の提案 奈良先端科学技術大学院大学、駒井先生にバトンパス。そもそも評価するべき「ひと」を集め、育てる研究機関の組織としての新しいあり方を提案。 MITメディアラボやカブリ数物連携宇宙研究機構など、分野をまたいだ人材や研究者同士のコラボレーションを促進し、高いモチベーションを維持することに成功している国内外の研究機関のユニークな事例を紹介
「科学が独立のものとしてでなく、社会の中で文化として根付くようにしていくべき」と主張。
6
小山田さんに最後のバトンパス。「ひと」にまつわるすべての提案の根底には、まず研究に書かわる「ひと」を理解し公平・適切に評価することが必要。そのための共通する提案として、「『ひと』が活躍するための基板となるデータ整備」をあげました。
7
原山議員「サイエンストークスの活動と提案の今までと違うところは、提言を出して「こうしてくれ」と主張するのでなく、自分たち自身が現場から変えていくから、一緒にやりましょうというメッセージだというところ。」 平将明内閣府副大臣からのコメントと質問「面白かったです!「『ひと』の評価」の部分で「プロジェクトでなく人に研究費をつける」という提案がありましたが、人を選ぶときには権威の問題などがからんできます。人はどう選ぶのでしょうか?どう工夫したらよいと思いますか?」
15
宮川先生「権威の問題はありますが、業績をデータベース化してまとめていくことで解決できるのではないかと思います。そこにある種の数値的なものを入れていく。例えば論文引用数などがありますが、そういった多様な数値を評価に入れて可視化することは技術的に可能で、権威のあるところに研究費がつくという状況を回避できるはず。」
10
プレゼン15分、質疑5分という非常に短い時間の中、ものすごいスピードで5名の連続プレゼンが終わりました。 提案内容の中の小さな一つのテーマや内容、具体例でも、本物の第5期科学技術基本計画に加わってくれればと願っています。
CSTIが行う第5期科学技術基本計画の本格的なまとめはこの夏から秋にかけて。サイエンストークスはこの計画の策定までしっかりと計画の方向性をウォッチしながら、可能な限りのサポートをしていきます。関連イベントも予定していますので、お楽しみに。

発表資料

[kanren postid=”4423,4392,4087″]

Related post

チベットの研究を通して見えてきたもの

チベットの研究を通して見えてきたもの

自分自身のしたいことを貫いて進んできた井内先生だからこそ見える世界、今後、チベットの研究をより多くの方に知っていただく活動にもたくさん力を入れていくそうです。これまで歴史の研究について、そして、チベットのことあまり知らないという人にもぜひとも見ていただきたい内容です。
チベット史の空白を明らかにしたい 日本のチベット研究者

チベット史の空白を明らかにしたい 日本のチベット研究者

0世紀から13世紀頃までのチベットでは、サンスクリット語からチベット語に膨大な数の経典が翻訳され、様々なチベット独自の宗派が成立したことから「チベットのルネッサンス」と呼ばれますが、この時代について書かれている同時代史料がほとんどありません。この「チベット史の空白」を明らかにしようと、日々研究されている京都大学白眉センター特定准教授の井内真帆先生にお話を伺っていきます。
自由な環境を追い求め『閃』が切り開いた研究人生

自由な環境を追い求め『閃』が切り開いた研究人生

後編では、黒田先生がどうして研究者になったのか?どのような思いを持ち、日々研究されているのか?などの研究への愛について語ってもらっています。自由な研究環境を追い求め、自由な発想をされる黒田先生だからこそ、生まれる発見がそこにはありました。

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *