「CSTI勉強会で展開したEXILEスタイルプレゼンテーション」〜勝手に「第5期科学技術基本計画」編集部反省会(第5話)〜
- 勝手に『第5期科学技術基本計画』日本語記事
- May 18, 2016
2016年1月22日に閣議決定され、すでに施行が開始された政府の第5期科学技術基本計画。当然気になるのが、「僕らの提案、少しは盛り込んでくれてるのか?」という疑問。そこで、サイエンストークスの小山田和仁さん、嶋田一義さん、湯浅誠さんの3名が集結。政府の答申案をサイエンストークスの提案内容と比較しながら、日本の科学技術の今のこれからについてじっくり語りました。
(収録は2016年1月、政府の答申案を資料として利用しています。)
CSTI勉強会でのEXILEスタイルプレゼンテーション
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湯浅 小山田さんはけっこうCSTIの第5期科学技術基本計画作成に向けた公聴会をまめに傍聴されていましたよね。
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小山田 中盤から後半にかけては毎回出て議論を聞いていました。
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湯浅 公聴会では我々の提案についての委員の皆さんの反応はどんな感じだったんですか? こういうこと言ってる団体がありますよ、という議論があったのかなかったのかとか。
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小山田 報告はしていただいてましたよ。経団連や日本学術会議からの提言と並んで、サイエンストークスという団体からの提案の抜粋、というのも入れてもらえましたし。大きな団体と、行数的には同じぐらい引用していただいていました。
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湯浅 それは非常に誇らしいですよね。
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[voice icon=”https://sciencetalks.org/wp-content/uploads/2016/05/shimada.jpg” name=”嶋田” type=”l”]
嶋田 そうですよ。経団連や日本学術会議と僕らじゃ、資金力とか全然違いますからね(笑)
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湯浅 完全に桁違いですよね(笑)。
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嶋田 桁数が違うだけじゃなくて、他の団体はそういった仕事を専業にしているわけですが、我々サイエンストークスはアフターファイブでやっている会ですからねえ。
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湯浅 3月26日にCSTIの勉強会に呼んでいただいてこの提案書のプレゼンをしたわけですが、あの時私が「面白いな〜」と思ったのが、1時間の勉強会でプレゼンターが2団体いたんですよね。
我々サイエンストークスと、東京商工会会議所の方々が30分ずつプレゼンをして提言をしたんですが、うちと商工会会議所さんのスタイルがあまりにも違って。委員の皆さんのプレゼンは相当面白かったですね。20分の短いプレゼンで、5人がかわるがわるすごいスピードで喋りましたからね。
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小山田 AKB48スタイルというか、EXILEスタイルというか(笑)チューチュートレイン状態で3分ごとに人が入れ代わり立ち代わり主張したいことを話すという。あれこそビデオに撮っておいてもらいたかったですよ。
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湯浅 いただいた時間が短いのに、言いたいことがたくさんありすぎてそうなっちゃったんですけど、ちょっと自分たちでやってておかしかったですね。でもインパクトはあったんじゃないかと。
明確に我々のアイディアを取り上げていただいたと言えるわけではないですけれど、第5期計画の中間報告を見ていると、結構反映していただいたんじゃないのかなというのが我々の見解です。
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小山田 第5期科学技術基本計画では「人材の流動」であるとか、「人材資金が集結する場の形成」といったあたりも37ページあたりに書かれていますが、ここはまさに駒井先生が担当された「ひとが活躍できる組織作り」部分に入っていたアイディアだと思いますね。
組織づくりをやらなきゃいけない、そういう場を大学とか研究機関が核となって作っていかなくてはならない、それを推進するという目標が述べられている。ただ、これは基本方針にすぎないので、じゃあどうやってそれを推進するか、具体的に何をやるかというのは書かれておらず、宙に浮いている状態ですよね。
これから具体的にどう落とし込んでいくかは、まさに現場に委ねられているところがあります。サイエンストークス版の提案には、国内外の事例と一緒にそれをこんな風にやっていきませんかという具体例に近い要素が入っている。これを実現していくのが次のステップですね。
まさに提案にかかわった我々が現場でやんなきゃいけないし、もっともっと多くの人を巻き込んでいかないといけない。それに先立つもの、お金なり人なりを集める方法も考えていかなければならない段階になっていると思います。
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湯浅 46ページに、「対話が必要だよね」という下りがありますよね。これを読んで我々と同じだな、と思いましたね。みんなで対話して、みんなで一緒に作っていって、様々なステークホルダーを巻き込んで。そうしなければ実現できない。
我々がサイエンストークスでミッションとしていることと同じです。 今大きく社会が変わりつつあって、日本がなんとなく八方ふさがりでどうしていいかわからないという状況ですよね。こういう状況にある社会では、1つの側面の知識や経験しか持ってない属性の似た人たちが未来を語ってもなかなかいいものが出てこないし、限界がある。だから多様なステークホルダーを巻き込んでわいわい話し合って進んで行くことが必要なんじゃないかなと。
多分おのずと そうやって多様性の中からイノベーションが生まれていく構造が出来上がってくるんじゃないのかなと、思ってCSTIも対話というのを入れたのかなと思ったんですよね。人間の成長と同じで、やっぱり自分の認識の外に出てもっといろんな人の話聞いて、お互いにいろんなことを吸収していかないといいものってうまれないですよね、という。
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[voice icon=”https://sciencetalks.org/wp-content/uploads/2016/05/oyamada1.jpg” name=”小山田” type=”l”]
小山田 そうですね。
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[voice icon=”https://sciencetalks.org/wp-content/uploads/2016/05/makoto.jpg” name=”湯浅” type=”l”]
湯浅 サイエンストークスの提案書を公表してからうまれた動きもあります。例えば 宮川先生が今回の提案書でアメリカのMITのキャリアトラック事例を参考にして、研究キャリアに「アドミントラック」、「リサーチトラック」、「マイスタートラック」という3つのキャリアトラックを作るべきだという提案をされましたよね。
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小山田 テニュアトラックをもっと多様にして、広報や知財などのアドミン、技術員などのマイスターも人事トラックとしてきちんと確立させようという提案でしたね。
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湯浅 はい。この提案に文部科学省の方と、まさに今技術員向けのトラックをどう作るかを検討されているある大学のURAの方々から興味を持っていただいて、是非アイディアを実現していきたいということで 宮川先生に直接ヒアリングをされたいということでサイエンストークスで三者の対談の場を設けさせていただきました(対談は後日掲載予定)。
提案が本当に実現して、大学でモデルケースができてそれが広がったりしたら素晴らしいですよね。研究に関わる人の多様性について提案された隠岐先生も、文科省からそのテーマについてヒアリングを受けられていましたし。
サイエンストークスという媒体から発信したアイディアや情報が誰かのアンテナに引っかかって、本人からもっと詳しく話を聞きたいという反応が起きたのは嬉しかったですよね。
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