研究現場における自主的な検討すすむ 〜『平成27年度科学技術白書』にサイエンストークスの活動が取り上げられました
- お知らせ勝手に『第5期科学技術基本計画』日本語記事
- July 6, 2015
2014年の1年間、サイエンストークスが活動のテーマとしてきた「勝手に『第5期科学技術基本計画』みんなで作っちゃいました」企画の活動が、文部科学省が発表した『平成27年度科学技術白書』に掲載されました。科学技術の中心的な当事者である研究者、特に、アカデミアの主役になるべき若手の研究者と現場の人々が集まって、日本の研究の改革のための具体的提案をしたことが、これまでにない新しい動きとして取り上げられています。
科学技術白書は、文部科学省が毎年発行している、日本の科学技術の今を伝える白書です。その年の科学技術を取り巻く環境の変化や新しいトレンドや動向、施策などをまとめています。平成27年の特徴は、ノーベル賞を受賞した青色発光ダイオード研究の経緯とLEDの未来、そしてSTAP論文を中心とした研究不正の問題という日本の研究の光と闇が2本の特集セクションで組まれていること。いやー、昨年度はいろいろありましたね。
さて、本題ですが、「第1部 科学技術により社会経済にイノベーションを起こす国へ~科学技術基本法20年の成果とこれからの科学技術イノベーション~」の第3章 第2節2、「第5期科学技術基本計画の策定に向けた関係機関の検討状況」セクションで、なんと「科学会や研究現場における主な検討状況」という1項目を割いてサイエンストークスの活動が写真付きで取り上げられています。以下引用します。(原文はこちら)
(5) 科学界や研究現場における主な検討状況
日本学術会議は、平成27年2月、学術の観から科学技術基本計画のあり方を考える委員会が 取りまとめた「第5期科学技術基本計画のあり方に関する提言」を公表した。同提言においては、 学術の発展を確保するために、「バランスの取れた発展」と「学術の持続的発展」を目指す視点が 重要であるとするとともに、第5期基本計画においては「大学等のあり方」、「基礎研究の重要性」、 「国際社会における我が国の学術のリーダーシップ」に特に留意すべきであるとしている。
また、第5期基本計画策定に向けて、研究現場における自主的な検討が進んできていることは大きな特徴である。若手有志による「サイエンストークス」というグループでは、「日本の研究をもっと元気に、面白く」をテーマに、平成26年3月から「勝手に第5期科学技術基本計画みんなでつくっちゃいました!」という企画を開始し、ウェブやイベントを通じた議論を経て、「第5期科学技術基本計画への提案」を公表した。 同提案では、「学術的・社会的に熱意の こもった研究づくり」を中心テーマに掲げ、「個人が活躍できる組織づくり」、「オモシロイ人材を集め・活かす」、「競争と 共 創を両立させる評価システム」、「社会との協働を通じて信頼と支持を獲得する」 の四つのテーマについて、研究に携わる当事者の立場から変革に向けたヴィジョンを提示し、具体的事例を基に提案を行っている。(出展:平成27年科学技術白書 p.130)
科学技術の中心的な当事者である研究者、特に、第5期科学技術基本計画が策定され実行される2016年から2020年でサイエンスの現場、アカデミアの主役になるべき若手の研究者と現場の人々が集まって、日本の研究の改革のための具体的提案をしたことが、これまでにない新しい動きとして取り上げられています。
はじめは普段は科学政策から遠い所にいる現場の研究者や若手の草の根的な声を政府の計画に盛り込もうと始めたこの企画ですが、ウェブサイト上での意見募集、クラウドやイベントに参加した方々からの意見をもとに話し合うほど、制度を変えなければ実現できないことと現場から挑戦していくべきことがあることに気づきました。政策側と現場が協力し合って、政策・現場の両面でよい計画と実践がたくさん生まれて広がることが、日本の研究を元気にするための新しいやり方だと思います。今回の提案書はその考えを盛り込んだものになりました。
現場ですでに起きているよい科学技術発展のための実践事例を豊富に入れ込んだ今回の提案書。2016年のサイエンストークスは、そんなアイディアを参考にしながら、議論するだけでなく「実践しちゃいました」を目標に新しい活動に向けて準備をしています。今後の動きをお見逃しなく。