ひらけ!アカデミア 第3夜 偶然?必然?世界大学ランキング上位で注目の
藤田医科大学を大解剖
小清水久嗣 × 小泉周 × 湯浅誠
THE世界大学ランキング2018で、初エントリーにして一気に上位に躍り出た地方の私立単科大学があります。その一校が藤田医科大学です。最近では新型コロナウイルス・パンデミックの初期に名乗りをあげ、ダイヤモンド・プリンセス号の乗客128名をいち早く受け入れたほか、最近ではワクチン接種後の抗体価の変化を検証した臨床研究を行った大学病院・大学として名前を記憶している方も多いでしょう。
複数の有力な大学を抑えての国内11位、私立大学1位という結果はなぜ起きたのか?カギとなったのははたった数本の「お化け論文」とでも呼ぶべき、スーパー・ハイ・インパクト論文が叩き出した極めて高い被引用パフォーマンス(FWCI)でした。THEランキングは教育、研究、論文の被引用パフォーマンス、国際性、産業収入という5つの指標に基づいたスコアから算出されます。中でも被引用パフォーマンスは曲者で、THEが2022版まで採用しているスコア算出方法では、大学から出るトップ論文の被引用パフォーマンスがスコアを大きく左右していたのです。
わずか数本の論文がもたらした上位獲得。一時の番狂わせにすぎない…と思いきや、藤田医科大学はそこでは終わりませんでした。それらの論文が評価対象外となった年度においても上位にとどまり、2021年には日本で初めてTHEのアジア大学サミット「THE Asia Universities Summit 2021」をホスト。本年も同サミット2022を連続開催。国内外の知名度が一気に高まりましたが、それに止まらず、学内では新たな研究センターやオープンファシリティの整備など、追い風を逃さず、一気に研究を重視する大学へと思い切った戦略的舵切りを図っているのです。
ひらけ!アカデミア第3夜は、藤田医科大学で研究戦略を支える参謀の一角、研究推進本部 URAであり教授を務める小清水久嗣(こしみず・ひさつぐ)さんをお迎えし、大学ランキングをめぐる藤田医科大学のあれこれとこれからの戦略などをねほりはほりお聞きします。第1夜でTHEのDuncan Ross氏が語った通り、来年度のスコア算出方法では「スーパー・ハイ・インパクト論文効果」が是正される予定。今後のランキングは果たして!? 今後はどのような展望を描くのでしょうか!?
大学ランキングがもっと面白くなる、あなたの大学の戦略立案にきっと参考になるエピソードが満載のTHEランキングシリーズ最終夜です。ぜひお見逃しなく。
開催日時・方法
プレゼント企画
イベントに参加後、アンケートにご回答いただいた方の中から抽選で10名様に、大学がコロナ禍で災害医療に踏み込んだ顛末を描いたノンフィクション本、『最後の砦となれ』をプレゼントいたします!
トークゲスト
小清水 久嗣(こしみず・ひさつぐ)
藤田医科大学 研究推進本部 URA 教授
阪大理学部卒、同大大学院理学研究科修了。博士(理学)。産業技術総合研究所、米国立衛生研究所(NIH)などを経て、2011年より藤田保健衛生大学(2018年に現在の名称に改名)に所属。2018年以降は研究推進をメインのミッションとする。研究の専門は神経科学。
ナビゲーター
小泉周(こいずみ・あまね)
大学共同利用機関法人自然科学研究機構 特任教授
生理学者、URA。米ハーバード大学医学部・マサチューセッツ総合病院・ハワード・ヒューズ医学研究所のリチャード・マスランド教授に師事。専門の生理学、研究機関の広報戦略、研究力強化、大学ランキング指標など、科学技術に関する発言は幅広い。
MC
湯浅誠(ゆあさ・まこと)
カクタス・コミュニケーションズ代表取締役
カクタスの日本法人代表として経営に携わる。常にアカデミアと出版業界の最新動向に強い関心を持ち、業界のトレンドについてステークホルダーと議論しあう機会を常に模索している。科学情報を届けるメディア、ScienceTalksを運営し、幅広く取材やイベント活動を行う。
ディスカッションテーマ
1. 偶然?必然?驚きの上位ランク入りと研究大学マインドの醸成. 1. 偶然?必然?驚きの上位ランク入りと研究大学マインドの醸成
2018年に初めて大学ランキングに参加した藤田医科大学。なぜ参加を決めたのか?センセーショナルな初参加で国内11位、私大1位はなぜ起きたのか?結果に対する学内の関係者の反応は?そして、2021年までの4年間の結果をどう分析するか?研究推進本部で、研究戦略の参謀として多くを見てきた小清水さんに、背景を語っていただきます。
2. スーパー・ハイ・インパクト論文のご利益を超えて。運を実力にする大学戦略とURAの役割
「幸運の女神は準備された者に味方する」ー 初参加で私大1位になった藤田医科大学が、その後4年間上位に踏みとどまっている理由を探ります。これを通じて現状を素早く分析して、より実力のある研究大学になるためのさまざまな試みや改革を語ります。また、その中でのURAという存在の役割を議論します。
3. 「地域の私立単科大学」であることの強みを生かす方法
裏を返せば、「首都圏の大学」や「国立大学」や「総合大学」でなくても・ないからこそできていること・できることはなにか?また、地域の医療を支える臨床の拠点としての強みをフルに生かすための戦略とは?日本の大学が国際的地位を維持することの難しさを抱える今、地域の私立単科大学が研究推進に力を入れることの意味を考えます。
当日のスケジュール
18:00〜18:10 オープニングトーク
18:10〜18:40 【発表】
ランキングと大学と研究と ー藤田医科大学における研究推進ー
小清水久嗣 (藤田医科大学 研究推進本部URA / 教授)
18:40〜19:20 【ディスカッション】
議題① 偶然?必然?驚きの上位ランク入りと研究大学マインドの醸成
議題② スーパー・ハイ・インパクト論文のご利益を超えて。チャンスを逃さない大学戦略と、URAの役割
議題③ 「地域の私立単科大学」であることの強みを生かす方法
小清水久嗣 x 小泉周 (MC:湯浅誠)
19:20〜19:30 参加者からの質問・意見交換 / クロージング
19:30〜20:00 オフレコトーク
※ご都合のつく方はぜひ残ってご参加ください。