研究関係のデータの読み方について(河野太郎議員への公開討論記事4)

研究関係のデータの読み方について(河野太郎議員への公開討論記事4)

(2)河野先生の引用されている科学技術振興費の伸びのデータについて

河野先生のブログに、
「よく言われる話ですが、政府の一般会計予算を項目別に、平成元年度を100として、平成28年度を比較すると、
科学技術振興費          302.1
社会保障経費                293.2
一般歳出全体                179.2
公共事業関係費                         109.8
と、科学技術振興費は社会保障費以上に伸びています。」
と書かれています。河野先生のご覧になっているデータは次の図のようなデータであると思います。
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おそらく、このデータについては多くの大学の先生方が意見を河野先生に送っていると思います。
まず、科学技術振興費には宇宙開発などが含まれており、その伸びは大学への研究資金の伸びとは必ずしも一致しません。一方「科学技術関係費」の伸びは、平成元年に比較して約2倍に増え、論文数も2倍になっており、大学の研究活動を反映している可能性があります。その伸びは、社会保障費の伸びよりも小さくなっています。
また、伸びを見る場合には、いつを基点にするかによってずいぶんと値が変わってきます。平成元年ではなく、国立大学が法人化された平成16年を基点にすれば、社会保障費の伸びは著しく大きく、科学技術振興費や科学技術関係費の伸びは停滞しており、一般歳出の伸びを下回っています。
財務当局が科学技術振興費を増やしたくなければ、基点を平成元年にしてロジックを展開すればいいし、仮に増やしたければ基点を平成16年にすればいいわけです。
大学の先生方に最も関係するのは、大学への公的研究資金です。OECDに提出されているデータを下に示します。補正を行っていますが、1991年に約4500億円の研究費が2005年以には約9000億円に増え、以後停滞しています。
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また、大学への公的研究資金の国際比較は次のグラフのようになります。国際比較のために人口当りの値で示してありますが、他の先進国が増加しているのに対して日本は停滞して差が開き、順位が下がっています。
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日本の人口当りの論文数の国際比較を下に示しますが、大学への公的資金の動きと同様であり、日本の研究面での国際競争力がどんどんと低下していることがわかります。
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