「じっとしていもダメ。動かないと! 」
中部大学理事長・飯吉厚夫氏インタビュー(11)
- 日本語記事インタビュー日本の研究ファンディングを考える
- September 16, 2013
「今科研費がうまく手に入らない」、「自分が研究者としてこれからどうなって行くかがわからない」という現役研究者の方へ、飯吉先生からのアドバイスを伺いました。
【湯浅】 先生のおっしゃる「国家の存続にかかわる科学技術」に対しては20年を目安にある程度の予算をつぎ込んで、結果を追求していく必要がある。もう一方では、一人一人の研究者がやられているような、自分の知的好奇心を追求していくような研究をしていく必要がある。
「今科研費がうまく手に入らない」、「自分が研究者としてこれからどうなって行くかがわからない」という現役研究者の方がたくさんいらっしゃると思いますが、その方たちに向けての先生の経験を踏まえてアドバイスはありますか?
【飯吉】 そうですね。まあ、今日の話はそういう意味ではあまりいい例にならなかったかもしれないんですけど、とにかくぶつからないと。研究は真っ暗い部屋の中でやっているようなものなのですが、どこかパッと脱出できるところがあるはずなので、そのためにはじっーとしてたんじゃだめですよね。
【湯浅】 なるほど。
【飯吉】 やっぱり動かないとね。動くという意味にはいろいろな意味で、研究面だけでなく、どうしたらいいかを考えることです。今までの過去のサクセスストーリーを少しは勉強して、それに似たようなことを最初はやってみてね。努力しているとだれかが拾ってくれます。社会というのはそういうふうにできているみたいですよ。
だから、努力しなきゃやっぱりだれも振り向いてくれないけど、努力しているとちゃんと拾われる。さっきの話にもあるけど、めぐり合いというのはあるんですよ。
【湯浅】 はい。本当に超伝導はそのいい例ですよね。
【飯吉】 そうですね。だから、何もしていなかったら、何も起こらないけれども、とにかく模索することが大事です。こっちを試して、だめなら次はこっち、とやっているうちに何かヒントがあるかもしれません。
【湯浅】 そうですね。でも、先生の話を聞いていると、私立大学では研究者の方から学長や総長に働きかけてこんなにすごい研究ができるから大学で予算をつけてくれ、とPRすることも可能ではないかと感じました。学長がそれに目をつけて文科省や経産省にPRして予算をとってくるなんて、大変勇気のわく話ですよね。
【飯吉】 それが、理事長・学長の仕事ですから。(笑)
【湯浅】 ちょっと学長に直接働きかける、というのは恐れ多くてできないというのが、正直あると思いますけど…。
【飯吉】 恐れ多いっていうよりも、ちょっと自分たちと世界が違うと思っているのかもしれないね。