大学の改革を進める:韓国の大学から学んだこと

大学の改革を進める:韓国の大学から学んだこと

コラム まことのFACT

大学を体系だった国際的な組織にするのは一朝一夕ではできることではありません。延世大学とSKKU大学へTHEランキング向上に関する戦略についてのインタビューを行い、彼らがいかに目標を定めコミットしていたかに感銘を受けました。

大学は事務的でお役所仕事になりがちです。学部のメンバーは自分たちの研究テーマ、知見、モチベーションを持っておりそれは非常に多様であるため、ステークホルダーを運営するのも大仕事です。会社を運営している自分の経験から言うと、会社の従業員は共通の目標に向かって仕事をしているので、会社の指針を変えることは大学ほど難しいことではないと思います。

THEのランキングが向上したからといって大学が変わったことを必ずしも意味するわけでありません。実際、我々は多くの大学にインタビューしましたが、単にランキングを上げることを目標にしていたというところは一つもありませんでした。

彼らは、大学をより良い場所にし続けるという、より大きくて長期的な目標を持っていたのです。しかし、THEは価値観の変遷に合わせてランキングメソッドを何年もかけて変え続けているので、ランキングを頭の片隅にとどめておくことは、社会が大学に何を求めているかを理解し運営方針を対応させていくのに役立ちます。

クリアで長期的な大学のビジョンを持つことと、THEのような第三者によるランキングのための実践的で実現可能なプランとリソースとのバランスを保つのが鍵となります。ほとんどの大学は、ビジョンをただの宣言のように捉えており、それをランキング目標を達成するための実現可能で測定しやすいプランに落とし込むことを苦手としている大学も多いのです。

延世大学のメンバーは、2015年のランキングは自校の強みを表したものではないと語りました。しかしそれをチャンスと捉え、問題に取り組んだのです。運営トップによる明確さと実行スピードには目を見張るものがありました。職員の強固なマネジメントのもとで、戦略室は自分たちの役割とゴールを明確に理解し、KPIを達成することに集中したのです。

先にも述べたように、THEランキングは大学の強みを図る一つの指標でしかありません。大学はどの側面に焦点を当てるかを選ぶことができます。ランキングを変えるためにどのくらい真剣に取り組むかは大学次第であり、延世大学のケースは、大学を国際的な機関に変革するための取っ掛かりとして、いかにランキングを有効活用することができるかを非常によく示してくれているでしょう。

湯浅誠(ゆあさ・まこと) / カクタス・コミュニケーションズ株式会社 代表取締役
イギリス留学、インド滞在、会社経営を経てカクタスの代表取締役に就任。プライベートでは双子のパパで、最近子どもの入院をきっかけに社長自ら育休の取得に挑戦。社員のマネジメントでもワークライフバランスが目下の関心事項。

雑誌「ScienceTalks」の「韓国大学のロバストな革新」より転載。

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