驚きのアリの子育て 社会性昆虫の不思議

岡山大学 学術研究院環境生命自然科学学域(農) 昆虫生態学研究室 助教 藤岡 春菜先生

驚きのアリの子育て 社会性昆虫の不思議

前編の内容とみどころ

私たちは朝起きて、夜になったら眠くなるというような1日24時間のサイクルが体の中に備わっています。これは人間特有の能力というわけではなく、他の多くの動物も同じであり、アリたちも同様に、このサイクルを体の中に持っているのです。そして、このようなサイクルのことを「概日リズム」・「日周リズム」と言います。今回インタビューをさせていただいた岡山大学の藤岡春菜先生は蟻たちの日周リズムを研究しているのです。

藤岡先生はアリの中でも特にトゲオオハリとヒラズオオアリという種類のアリに注目し、研究を進めており、アリを観察するなかで、様々な面白いアリの生態を発見してきました。今回は藤岡先生が発見した面白いアリの生態をいくつかご紹介いただきました。

トゲオオハリ

 

ヒラズオオアリ

まず紹介してもらったのはトゲオオハリの研究です。トゲオオハリは普段、昼行性といって昼間に行動するアリですが、なんと、成虫のアリを卵や幼虫と同じ環境においてやると、成虫の日周リズムが無くなってしまうそうなのです。つまり、卵や幼虫と一緒にいると、いつまでも育児を続けてしまう。働き続けてしまうのです。いったい何がアリをそこまでさせてしまうのでしょうか。どこまでわかってきているのか。ぜひ、動画でご確認ください。

もう一つ紹介してもらったのはヒラズオオアリの研究。ヒラズオオアリの頭はとても不思議な形をしており、なんと、その頭を使って巣口に蓋をするのです。先生はこの行動に注目し、観察を進めました。巣口を塞ぐ個体は交代制なのか?それともずっと同じ個体が巣を守っているのか?様々なことが観察を続けることで見えてきました。どんなことが見えてきたかは動画をご覧ください。

小さくてたくさんいるアリを実際にどのようにして観察するのか?見分けはつくのか?いろんな疑問が湧いてくると思いますが、実験方法についても詳しくお話してもらっています。また、社会性昆虫のある行動が、その進化を進めてきたかもしれないそうなのです。ある行動とはどのような行動なのか?アリだけでなくハチなどの社会性昆虫に興味がある学生の皆様は必見の内容となっております。

 

番組内容

地面を見ると、自分よりも遥かに大きい物を運んでいる小さな昆虫がうろうろとしていることがあります。黒くて大きな顎を持つアリです。彼らは人間と同じようにお互いに協力し合う社会性昆虫であり、とても身近な存在です。しかし、まだまだその生態について、分かっていないことが多いのです。昆虫シリーズ第3弾。今回は岡山大学農学部で、アリの研究者として、彼らの謎に満ちた生態を明らかにしようと日々、研究されている藤岡春菜先生に、お話を伺っていきます。

 

藤岡 春菜(ふじおか はるな)

岡山大学 農学部 昆虫生態学 助教

2020年に東京大学で博士課程を所得後、日本学術振興会特別研究員PD(大阪市立大学)を経て、日本学術振興会特別研究員CPD(大阪市立大学)としてスイスに留学、現在は岡山大学農学部助教を務める。アリの概日リズム・日周リズムに注目し、アリの生態を解き明かすために日々研究をすすめている。

 

くもM LABとは?

くもM LABはサイエンスコミュニケーターであるくもMが様々な分野の研究者にお話を聞きに行くことで、研究者の皆様の生態を暴いていくバラエティー番組。どんな研究をしているのか?どうして研究者になったのか?など、研究者のあれこれを引き出していきます。

くもMプロフィール

大阪府立大学理学系研究科生物化学専攻。製菓会社に勤務後、『身近な科学を通じて、子供も大人も学びを遊びに』をモットーに、科学実験教室やサイエンスショーなどの活動を運営しています。

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