太陽で起こる爆発現象 地球への影響とは

京都大学 理学研究科 付属天文台 准教授 浅井歩先生

太陽で起こる爆発現象 地球への影響とは

前編の内容とみどころ

今回、取材させていただいた浅井先生が所属している京都大学花山天文台は、1929年10月に設立された日本で二番目に古い大学天文台です。現在でも現役で太陽の観測をしており、浅井先生はここにあるザートリウス望遠鏡のデータを用いて研究をされています。太陽の観測に用いられるこの望遠鏡は、なんと、今から100年以上前に京都大学が購入した日本で最も古い望遠鏡であり、口径18 cmのレンズを持つ立派な望遠鏡です。番組の前半では、このザートリウス望遠鏡について詳しく解説してもらっていますので、その大きくて立派な姿をぜひ、動画にてご覧ください。

ザートリウス望遠鏡には特別なフィルターが取り付けられており、太陽表面の1万度の水素の光だけを観測することができます。ここから得られたデータを解析することで、太陽で起きている爆発現象(太陽フレア)について詳しく知ることができるのです。

太陽の表面には、爆発現象により発生する磁場を帯びたガスが浮かんでいることが観測できます。なんと、このガスが地球に向かって飛んでくることがあるそうです。もし、この大きなガスの塊が地球にやってきてしまうと、地球の磁場は大きく乱され、人工衛星や送電線網、電子機器などに大きな影響を及ぼすと言われています。最悪の場合、大停電が起こり、電子機器に頼り切っている現在の人類に大きな被害が出ることが予想されます。浅井先生は太陽の観測を続けることで、この被害を最小限にしようと頑張っておられるのです。太陽がどのような状態の時に爆発現象は起こりやすいのか?そもそも予想することができるのか?爆発現象が発生してから地球では対策をとることができるのか?などなど皆様も気になる内容をしっかりと解説してもらいました。携帯電話やパソコンが無くてはならない現代人には必見の内容となっています。

番組内容

朝、目覚めたときに差し込んでくる太陽の光。一日の始まりを知らせると同時に、私たちに元気をくれます。また、生き物がこの地球で生活するには太陽は欠かせない存在です。そんな太陽は地球から1億4960万kmも離れたところにあり、ものすごく遠い存在に感じるのではないでしょうか。しかし、実は遠く離れた太陽の表面で起きた爆発現象は、時に地球に大きな影響を及ぼしてしまうことがあるのです。では、一体どんな影響が起きてしまうのでしょうか。今回は京都大学で、太陽の研究者として、太陽表面で起こる爆発現象を観測し、なんとかその被害を抑えるために日々研究されている浅井歩先生にお話を伺っていきます。

 

浅井 歩(あさい あゆみ)

京都大学 理学研究科 付属天文台 准教授

京都大学大学院理学研究科物理学・宇宙物理学専攻 宇宙物理学・天文学分野 博士後期課程 を卒業後、自然科学研究機構国立天文台を経て京都大学へ。太陽で起こる爆発現象(太陽フレア)を日々観測し、そのメカニズムの解明と地球への影響を調べる。

 

くもM LABとは?

くもM LABはサイエンスコミュニケーターであるくもMが様々な分野の研究者にお話を聞きに行くことで、研究者の皆様の生態を暴いていくバラエティー番組。どんな研究をしているのか?どうして研究者になったのか?など、研究者のあれこれを引き出していきます。

くもMプロフィール

大阪府立大学理学系研究科生物化学専攻。製菓会社に勤務後、『身近な科学を通じて、子供も大人も学びを遊びに』をモットーに、科学実験教室やサイエンスショーなどの活動を運営しています。

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