その宇宙線どこからくるの?最高エネルギー宇宙線の謎に迫る
大阪公立大学 大学院理学研究科 物理学専攻 兼 南部陽一郎物理学研究所
- インタビューくもM LAB動画
- November 3, 2023
前編の内容とみどころ
宇宙線は目に見えず、感じることも無ければ、身体への影響もありませんので、太陽から降り注ぐ紫外線のように、普段から気にしているという方は、いないのではないでしょうか。では、その正体は何なのか?それは、主に宇宙からやってくる高いエネルギーを持つ陽子です。そしてなんと、手のひら程度の面積あたりに、1秒間に1つ、通過するくらいたくさん降り注いでいます。では、たくさん降り注いでいるけれど、見えない、感じないものをどうやって観測するのでしょうか。今回、藤井先生には宇宙線が通ると光るという装置を見せてもらいました。
藤井先生はどのような宇宙線を観測しているのか。それは、たくさん降り注いでいる宇宙線の中でも、ものすごく大きなエネルギーを持つ、最高エネルギー宇宙線と呼ばれる宇宙線の観測を行っています。多くの宇宙線は、地球の磁場の影響によって曲がってしまい、どこから来たのか分からなくなってしまいます。しかし、この最高エネルギー宇宙線は、エネルギーがとても強いため、地球の磁場では曲げられないのです。つまり、最高エネルギー宇宙線を観測することで、どの方向からやってきたのかが分かるのです。先生は今、やってきた先にどのような現象があり、どうやって最高エネルギー宇宙線が起こるのか?を調べています。まだ、その謎は明らかにはなっていませんが、どのような現象によって起こりうるのか?先生の考えを詳しく教えてもらっています。また、最高エネルギー宇宙線が大気に突入した時、空気中の分子と衝突し、たくさんの粒子が生れます。この粒子は、数十 ㎢の範囲にシャワーのように降り注ぎます。これを観測することで、最高エネルギー宇宙線がどの方向からやってきているのかを確かめるわけですが、ものすごく広い範囲に降り注ぐ空気シャワーをいったいどんな観測装置で観測しているのか?どれくらいの頻度でそれが起こるのか?そのあたりについてもしっかりお話してもらっています。ぜひ、動画で確認してみてください。
番組後半では宇宙線が、まさかそんなところに応用されるとは?というようなお話もたくさんしてもらっています。宇宙に興味がある方には必見の内容ですよ。
番組内容
私たちは普段、まったく感じることはありませんが、実は宇宙からこの地球には、たくさんの宇宙線が降り注いでいます。もちろん目には見えないので、知らない方も多いのではないでしょうか。そんな宇宙線ですが、その多くがどこで発生し、どのような旅を経て、この地球にやってきているのか、まだまだ分かっていないのです。今回は、そんな謎に満ちた宇宙線を観測し、宇宙の謎を解き明かそうと日々、研究されている大阪公立大学院 理学研究科 物理学専攻の藤井俊博先生にお話を伺っていきます。
藤井 俊博(ふじい としひろ)
大阪公立大学院 理学研究科 物理学専攻 准教授
大阪市立大学大学院 理学研究科にて学位取得後、シカゴ大学カブリ宇宙物理学研究所、東京大学宇宙線研究所を経て2018年より京都大学白眉センターに所属。2022年4月より現職。専門は最高エネルギー宇宙線の観測。南北半球で極高エネルギー宇宙線への最高感度を誇る、テレスコープアレイ実験とピエールオー ジェ観測所の共同研究者であり、次世代計画である FAST実験では研究代表者として新型宇宙線望遠鏡の開発を主導している。
くもM LABとは?
くもM LABはサイエンスコミュニケーターであるくもMが様々な分野の研究者にお話を聞きに行くことで、研究者の皆様の生態を暴いていくバラエティー番組。どんな研究をしているのか?どうして研究者になったのか?など、研究者のあれこれを引き出していきます。
くもMプロフィール
大阪府立大学理学系研究科生物化学専攻。製菓会社に勤務後、『身近な科学を通じて、子供も大人も学びを遊びに』をモットーに、科学実験教室やサイエンスショーなどの活動を運営しています。
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