ミドリムシであの人気キャラクターを描く!?レーザー技術の最先端!
奈良先端科学技術大学院大学 細川陽一郎教授 インタビュー 後編
- くもM LABインタビュー動画
- January 14, 2022
後編の内容とみどころ
前編で紹介した高出力のフェムト秒レーザーがまだ珍しかった時代、レーザーを使ってガラスや半導体を加工する応用例が報告されつつありました。そんな中、細川先生はフェムト秒レーザーを使って生き物の細胞を加工してみよう!と思いついたのです。
ただ、細胞を加工するには顕微鏡の下でレーザーを当てなければなりません。もし、顕微鏡にそんな高出力のレーザーを導入すれば、何百万円の顕微鏡が壊れてしまう可能性がありました。では、細川先生はどのようにして顕微鏡に高出力フェムト秒レーザーを導入したのでしょうか。
また、その当時物理の世界で応用例が出たばかりで、他に細胞のような生体材料を加工しようとする人はいませんでした。周りからは顕微鏡や装置が壊れてしまう!おかしなやつがいるぞ!といった声があがっていたそうです。さらにはフェムト秒レーザーで細胞を加工するのが世界初であるため、測定、検出する機器もありませんでした。
しかし、先生は諦めることなく持ち前の直感と恩師のおかげもあり、フェムト秒レーザーを顕微鏡に導入することを成功させ、さらには細胞を加工する技術を確立したのです。どのようにしてそこまでたどり着いたのか、そのエピソードは必見です。
そして、番組の後半ではいよいよレーザーを使ったミドリムシの加工のお話に入ります。レーザーで細胞をつぶしたり、動かしたりすることは簡単でも、穴を開けて中にものを入れるのはものすごく難しいそうです。特に植物細胞は難しく、さらには植物細胞と動き回る動物細胞の両方の性質を持ったミドリムシ。そんな難しい生き物にどうやって穴を開け、蛍光物質をいれたのか?またしても先生の直感が働き、奇跡を起こしたエピソードからはまさに科学の面白さを感じること間違いありません。
番組内容
まずはこちらの画像をご覧ください。
誰もが知っているあの国民的超人気キャラクターが緑色の点で描かれています。さて、これはいったい何で描かれたものだと思いますか?
蛍光ペンで点描したもの?それとも蛍光物質を並べただけ?
いえいえ、なんとこれ、レーザーを使って、ミドリムシに蛍光物質を入れることで描かれた絵なんです。
今回はレーザー技術を駆使し、様々な研究にチャレンジしてきた奈良先端科学技術大学院大学細川陽一郎教授にレーザーの研究について、そしてミドリムシを使ったこの絵はどうやって、そしてなぜ描かれたのかについてお話しいただきました。
奈良先端科学技術大学院大学 細川陽一郎教授 インタビュー 前編はこちら
細川 陽一郎(ほそかわ よういちろう)
奈良先端科学技術大学院大学 物質創成科学領域 教授
1972年兵庫県で生まれる。大学は大阪市立大学工学部に入学し、レーザーの研究に出会う。博士課程からは大阪大学の応用物理学専攻へ移り、世界最先端のレーザー研究により、博士号を取得する。大阪大学の増原教授と共にレーザー技術の開発を進め、現在は奈良先端科学技術大学院大学 物質創成科学領域で教授を務める。
くもM LABとは?
くもM LABはサイエンスコミュニケーターであるくもMが様々な分野の研究者にお話を聞きに行くことで、研究者の皆様の生態を暴いていくバラエティー番組。どんな研究をしているのか?どうして研究者になったのか?など、研究者のあれこれを引き出していきます。
くもMプロフィール
大阪府立大学理学系研究科生物化学専攻。製菓会社に勤務後、『身近な科学を通じて、子供も大人も学びを遊びに』をモットーに、科学実験教室やサイエンスショーなどの活動を運営しています。
【TikTok】 https://www.tiktok.com/@science.kido
【Twitter】 https://twitter.com/science_kido
【科学ブログ】 https://www.science-kido.com/