オープンフォーラム2014「日本の研究をもっと元気に、面白く」10月開催決定! 小山田和仁バーマスター×湯浅誠、両氏が語る今年のサイエンストークスのみどころ(上)3

オープンフォーラム2014「日本の研究をもっと元気に、面白く」10月開催決定! 小山田和仁バーマスター×湯浅誠、両氏が語る今年のサイエンストークスのみどころ(上)3


昨年に続き、来る10月25日(土)に、「サイエンストークス・オープンフォーラム2014 日本の研究をもっと元気に、面白く。~みんなで作る、『第5期科学技術基本計画』への提言~」を開催します。今年のサイエンストークス・オープンフォーラムのテーマは、日本の研究の方向性を決める政府の「第5期科学技術基本計画」について。5年に一度の科学技術基本計画作りの機会を捉え、日本の研究をもっと元気に面白くする方策をみんなで考えるフォーラムを目指します。

昨年に開催されたサイエンストークス・シンポジウム「ニッポンの研究力を考える。未来のために、研究費をどう使うか?」では、ゲストスピーカーとして有識者6名を迎え、様々な方向から日本の研究費にまつわる問題ついて討論しました。イベントでは、スピーカーや参加者の方からたくさんのアイデアが寄らせられましたが、イベント終了後、そのアイデアを発信していくためにはどうすればいいかについて考えました。そこで、今年のサイエンストークスは2016年度から始まる第5期科学技術基本計画に注目し、実際に研究者や大学関係者、政策者など各方面から出たアイデアを集約し、基本計画へ提案するというオープンフォーラムという形で開催することとなりました。
この10月のイベントに先立ち、昨年からサイエンストークスのモデレーターをつとめる小山田氏(政策研究大学院大学 科学技術イノベーション政策プログラム 専門職)と、サイエンストークス委員会副委員長の湯浅誠氏の対談をお送りします。対談(上)では、去年のサイエンストークスやガチ議論について振り返り、対談(下)では、今年のサイエンストークスに期待すること、抱負、そして見所について語ります。

対談(上)去年のサイエンストークスを振り返ってみて

――昨年の10月にサイエンストークス・シンポジウムを開催しました。日本の研究力の問題を、登壇者と会場の参加者全員で立場を超えて議論しあうプラットフォームを作る、という新しい試みでしたが、振り返っていかがでしたか?
小山田 最初は参加者からどれだけ活発な意見が出るか、やってみないと分からないところがありましたのでちょっと心配したんですが、本当に杞憂に終わった、というのが感想ですね。登壇者の方は、もともと一家言をお持ちの方ばかりでしたが、予想以上に活発に議論が行われたな、と思います。
――シンポジウムでは実に研究に関わる様々な立場の人たちが議論に参加されましたが、期待通りの議論になりましたか?
小山田 うーん、こういう方向の議論になってほしいという考えは最初からなかったですね。研究者の方だけではなくて、大学の職員さんもいれば、ファンディング・エージェンシーの人も、現役の学生さんもいる中で、多種多様なメンバーが混ざりあって議論をすることで、どういう化学反応が起こるのか、どういう面白いアイデアが出るかな、という期待がありました。そういう意味で、前回の成果は、かなり多様で面白かったと思います。
――湯浅さんは、こういうイベントの運営を初めて行ったと思うのですが、イベントの始まりから終わりまでを運営してみていかがでしたか?
湯浅 本当にやることなすこと、何もかも初めてでしたね。どこからの助けも借りずに一企業として初めてシンポジウムの運営全体を手がけてみて、本当に大変でした。本業のほうはどうなっちゃうんだろう、ってぐらい。それが正直な感想です(笑)いろんな心配はしてはいたのですが、とてもうまくいったかなという気はしています。
――当日はどうでしたか?
湯浅 当日は、スピーカーの方が言いたいことが非常に多かったのが難しかったですね。こちらの意図としては参加者の皆さんが事前に膨大な資料、インタビューを読んでいただいて、当日はスピーカーの方々には要点だけをお伝えいただく予定でした。しかし、やはり、全部言いたい、という方が非常に多かったのと、参加者の方もたくさん議論をされて、登壇者に対する答えやフィードバックの時間が、足りませんでした。結果的に参加された方は少しだけ消化不良な感じがあったかなというのが、反省点ですね。
――なるほど。
湯浅 SNSを使ってリアルタイムで発信したり、ライブストリーミングで生中継でイベントを配信したりと、運営自体は今までに比較的やってこなかったやり方ができて、インタラクティブなイベントにはなったと思います。ガチ議論さんにもそのノウハウをある程度はお使いいただくことができたので、1回目としては良かったかなというふうには思います。
――昨年10月のシンポジウムでは、日本の研究費の問題について取り上げました。その当日の議論を通して何かみえたところはありますか?
小山田 1つはやはり政府研究開発投資の総額を増やせるか増やせないかというところです。今の財政状況を踏まえると増やすのは難しいですが、一方では実際に海外と比較した場合には、日本の政府研究開発投資は伸び悩んでいる。ですので、そのインプットの総量自体をいかに増やすかというのがひとつの課題ですよね。
――その問題に対して何か提案はでましたか?
小山田 1つ目は「いかにうまく外部の資金を導入するか」。2つ目はさらには思い切って、「学校教育を学費のほうで賄い、運営費交付金のほうは研究のほうにシフトする」といったアイデアです。その一方で、「総額だけ増やせばいいのかという疑問」があり、「果たして、今の研究費の使われ方が効率的な使われ方になっているのか」という質問も出ていました。また、同じインプットを入れるとしても、「諸外国と比較したら、実は効率が悪いじゃないか」というような観点も出ていて、研究費の使いどころは今後本当に考えていかないといけません。
――湯浅さんはいかがですか?
湯浅 すごく同感なのですが、もうひとつは財務省の神田さん(神田眞人・財務省国際局開発政策課長)と豊田先生(豊田長康・鈴鹿医療科学大学学長)の、おふたりのプレゼンを拝見して思ったことがあります。豊田先生に関しては、予算が増えればアウトプットは絶対に増えるというお話でをされていました。一方、神田さんに関しては、予算は増やしてはいるけれど、アウトプットが増えていないという主張です。おふたりの主張が真っ向から相反していたという点が興味深かったですね。データの読み方や、当事者がどういう立場の方によって見解は違いますよね。
――確かにそうですね。
湯浅 では、「増額をすべきなのか減額をすべきなのか」、「コストパフォーマンスをどうやって上げるのか」、ということを考えた際に、やはりそれぞれの違う立場の人が、違う認識と違うデータの拠りどころのもと、物事を進めているころがわかりました。これを踏まえて、みんなで着地点をどうやって一緒に考えていくかっていうところが、ひとつの課題なのだなと思っています。
――特に議論の中で印象に残った登壇者や参加者の意見はありますか?
小山田 豊田先生や熊本大学学長の谷口功先生のご意見で、大学の中の、経費の配分の仕方を、思いっきりドラスティックに見直すというアイデアです。そこはやはり学費負担を増やすことになるので、現役の将来の学生さんやその親御さんにとっては、負担が増えることになりますよね。そういった方針を採って、特色を出していくという大学のあり方というのもありかなと。
――湯浅さんは、昨年の12月に分子生物学会さんの年会のガチ議論の運営にサイエンストークスの代表としてサポートに携わりました。
湯浅 学会でこういうイベントを大々的にやられたのは、分生(分子生物学会)さんが初めてです。その立案者である大阪大学の近藤滋先生は非常にユニークな方。第三者として非常に面白いイベントというのが感想です。また、キャスティングも素晴らしく、とても弁が立つ方々ばかりでした。元文部科学副大臣の鈴木寛さんや、以前は研究者で現在はヤフーCSOの安宅和人さんが参加されていました。ガチ議論という名にふさわしく、相当ガチな議論が繰り広げられていました。
――どんなところが面白かったですか?
湯浅 サイエンストークスと同じように、ガチ議論では研究者と政策関係者の意見というのを、一般の方の色々な人が聴いてもらう機会を提供されていたので、非常に面白いと思いました。安宅さんのように経営目線で物事を伝えるお話というのは、とても研究者の自尊心をくすぐるような発言でしたし、参加者の皆さんもすごく盛り上がっていましたよね。安宅さんからは研究者を元気にするような発言が出ていたので。私もみていて楽しかったですね。
あと、ガチ議論の場合は、ツイッターが1000以上というすごい数の意見が寄せられていて、これをどのように収拾するのかなというのは、正直みていて思いました。最終的には時間になって強制終了になってしまったのですが、強制終了になっていなかったら、朝5時まで延々と続いていたとしても不思議ではありませんね(笑)。
――なるほど、かなり盛り上がっていたのですね。

湯浅 あと、サイエンストークスと比較すると、やはり視聴者数や参加者数が圧倒的でしたね。分子生物学会という国内でも大きい学会の存在であることと、事前に結構話題性があり、メディアから取り上げられたことも理由なのかなと思います。今年度はサイエンストークスも、ガチ議論のときのように、色々な方に参加して頂きたいなと思います。
――議論の内容はどうでしたか?
湯浅 そうですね、ガチ議論のときは、研究費問題、ポスドク問題、システム問題など、本当に色々な話しが出ていました。ただ、たくさんのアイデアがガチさんから出てきて、せっかく出たアイデアを言って終わりになってしまうというのはとても勿体ないので、意見の集約が必要だと感じました。例えばツイッターで出た意見をある程度集約をして、ひとつの提言として持っていくとか。ガチさんと連携しているサイエンストークスとしては、まずはそこでいただいた議論を、ある程度集約をして、いただいたアイデアをこちらで摘み取ってうまく拡げていければなというふうに思っています。
【イベントの詳細】
サイエンストークス・オープンフォーラム2014 日本の研究をもっと元気に、面白く~みんなで作る、「第5期科学技術基本計画」への提言~
日時:2014年10月25日(土)12:30 – 18:00 (※受付12:00〜)
場所:東京大学 本郷キャンパス(工学部)武田先端知ビル 武田ホール
参加人数:200名  参加費:無料
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