世界で最も多い魚の食中毒、「シガテラ食中毒」の撲滅を目指して

大阪府立大学・円谷健教授 インタビュー 後編

 世界で最も多い魚の食中毒、「シガテラ食中毒」の撲滅を目指して

後編の内容とみどころ

シガテラ食中毒の原因毒素であるシガトキシンを持つ魚を簡便に見分ける方法は無く、疑われる魚はすべて破棄しているのが現状です。

そのため、すぐにその場で判断できるものがあれば、食中毒を未然に防ぐだけではなく、多くの食料を救うことができます。大阪府立大学の円谷健教授は誰でも簡単に判別できるシガトキシン検出キットを作製するため、世界で初めてシガトキシンに結合する抗体を獲得しました。

先生はどのようにしてシガトキシンに結合する抗体を作ったのでしょうか。また、この抗体を使ってどのようにして毒を持っているかを見分けることができるのでしょうか?検出キットの現状について、詳しく教えていただきました。

また、シガテラ食中毒の症状はドライアイスセンセーションと呼ばれ、ドライアイスを触った時のような痛みがするだけでなく、症状は長く続き、時には1年ほど苦しみが続きます。現在、シガテラ食中毒の直接的な治療薬は無く、対症療法で対応するしかないという状況です。

しかし、シガトキシンに結合する抗体を使用することで、食中毒のメカニズムが見えてきました。つまり、これまで無かった治療薬に繋がる可能性がでてきたのです。抗体から見えてきたシガテラ食中毒のメカニズム、そしてその治療薬に向けて、その展望を語っていただきました。多くの方を救うことができるかもしれない研究。ぜひ、動画でご覧ください。

番組内容

日本ではあまり知られていませんが、世界で毎年約5万人もの人が苦しんでいる魚の食中毒があります。それが「シガテラ食中毒」です。シガテラ食中毒は熱帯・亜熱帯地域でよく見られる食中毒であり、致死性は低いものの、症状が長引くことが特徴です。また、シガテラ食中毒の原因毒素であるシガトキシンを持っているかの判別が難しく、多くの人々を苦しめています。さらには地球温暖化の影響により日本でも報告例が増えており、地域が広がることで、これから大きな問題となる可能性がある食中毒です。そんなシガテラ食中毒で苦しむ人々を無くすべく、日々研究されている大阪府立大学理学系研究科の円谷健教授にお話を伺いました。

図. シガトキシン

大阪府立大学・円谷健教授 インタビュー 前編はこちら

 

円谷 健(つむらや たけし)

大阪府立大学 理学研究科 教授

茨城県で生まれ筑波大学へ進学しました。その後、アメリカのマサチューセッツ工科大学で博士研究員を経験し、日本に戻り、花王の基礎科学研究所に5年間勤めました。1997年からは大阪の吹田市にある蛋白質工学研究所に移り、5年間研究をした後、2003年から現在所属する大阪府立大学で研究を始めました。そして、2017年からは教授として活躍しています。

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くもMプロフィール

大阪府立大学理学系研究科生物化学専攻。製菓会社に勤務後、『身近な科学を通じて、子供も大人も学びを遊びに』をモットーに、科学実験教室やサイエンスショーなどの活動を運営しています。

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