世界一ありとあらゆる生きものにフェムト秒レーザーを当てた研究者

奈良先端科学技術大学院大学 細川陽一郎教授 インタビュー 前編

 世界一ありとあらゆる生きものにフェムト秒レーザーを当てた研究者

前編の内容とみどころ

レーザーと言えば、スターウォーズに出てくるようなライトセーバーや、アニメや漫画で登場するようなレーザービームを想像する方が多いでしょう。このようなかっこいいレーザー武器が作れたら良いのですが、残念ながら現在の技術ではライトセーバーは作ることはできません。しかし、レーザーを使えば、爆発現象は起こすことができます。そして、この爆発現象を利用し、細胞を加工しているのが、今回のゲストである細川先生。では、どのように爆発を起こすのか?それは、1f秒(フェムトびょう)、わずか1秒の1/10¹⁵という極めて短い時間に光を濃縮するのです。1f秒は、1秒間に地球を7周半することができる光でさえ、シャボン玉の薄皮すら通過できない時間。そして、その時間に光を濃縮したものがフェムト秒レーザーであり、さらにこのフェムト秒レーザーをレンズで集光すれば、分子全体が爆発する現象が起きるのです。

先生はその爆発現象を利用することで様々な細胞を加工してきました。フェムト秒レーザーの爆発を利用し、どのように細胞を加工するのでしょうか。また、どんな細胞を加工しているのでしょうか。

レーザー技術のスペシャリストである細川先生の頭の中は常にレーザー研究のことでいっぱいです。レーザーの研究者として、まちがいなく、世界一の数のありとあらゆる生き物にフェムト秒レーザーを当ててきた細川先生。先生がレーザーを当てて、面白いと感じた生き物とは!?いったいどんな生き物なのでしょうか。

インタビューでは、細胞を分子レベルでの加工する最新技術、そして細川先生のレーザー愛に迫ります。

そして、注目すべきは研究室に飾られた数々の折り紙工作。幼い頃からモノ作りや工作が好きで、それがこうじてレーザー技術の開発を仕事にしてしまった細川先生。教授となった今、ラボの運営に忙しく、准教授や助教の先生に研究開発を任せることが多くなり、なかなか自由なモノ作りに手が出せません。そんなフラストレーションから、次第に増えていく折り紙工作たち・・・机に飾られている先生のプロ並みの作品には、魅了されること間違いありません。

番組内容

第8回のくもM LABのゲストは奈良先端科学技術大学院大学の細川陽一郎教授です。細川先生は大学院の時にレーザーと出会い、「レーザーを使えば、教科書に出てくるような化学式の反応が、実際に起きているところをこの目で観測できる」という事実に感動しました。そして、そこからレーザー技術の開発に携わり、現在に至るまでレーザーの研究を続けています。今回はそんなレーザー技術のスペシャリストである細川先生に研究への愛、そして、レーザーへのマニアックな情熱を語っていただきました。

奈良先端科学技術大学院大学 細川陽一郎教授 インタビュー 後編はこちら

 

細川 陽一郎(ほそかわ よういちろう)

奈良先端科学技術大学院大学 物質創成科学領域 教授

1972年兵庫県で生まれる。大学は大阪市立大学工学部に入学し、レーザーの研究に出会う。博士課程からは大阪大学の応用物理学専攻へ移り、世界最先端のレーザー研究により、博士号を取得する。大阪大学の増原教授と共にレーザー技術の開発を進め、現在は奈良先端科学技術大学院大学 物質創成科学領域で教授を務める。

くもM LABとは?

くもM LABはサイエンスコミュニケーターであるくもMが様々な分野の研究者にお話を聞きに行くことで、研究者の皆様の生態を暴いていくバラエティー番組。どんな研究をしているのか?どうして研究者になったのか?など、研究者のあれこれを引き出していきます。

くもMプロフィール

大阪府立大学理学系研究科生物化学専攻。製菓会社に勤務後、『身近な科学を通じて、子供も大人も学びを遊びに』をモットーに、科学実験教室やサイエンスショーなどの活動を運営しています。

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