プラスチックの人工酵素!?プラスチックは万能の酵素になり得るのか?

京都大学 白眉センター 特定助教 黒田悠介先生

プラスチックの人工酵素!?プラスチックは万能の酵素になり得るのか?

前編の内容とみどころ

例えばお肉を食べた時、そのままでは大きすぎて、吸収することはできません。そこで登場するのが酵素です。酵素はお肉を分解し、吸収できるようにしてくれているのです。また、消化吸収以外でも、息をしたり、何かを考えたり、身体を動かしたりなどなど、生命現象に関わる全てで酵素は活躍してくれています。ただ、1種類の酵素は、特定の反応にしか使えないため、この反応にも、あの反応にも、と全ての反応に使えるわけではありません。また、酵素はタンパク質でできているので、酸やアルカリ、熱などにも弱いという弱点があります。

そこで、京都大学白眉センターの黒田先生が考えたのが、プラスチックを使った人工酵素です。もし、プラスチックが酵素として使えるのであれば、酸やアルカリ、熱に弱いなどの酵素の弱点を克服することができるかもしれません。また、好きな反応を早めることができる人工酵素を実現できれば、化学反応をたくさん使う、工業や医療分野で大活躍しそうですよね。では、どのようにプラスチック人工酵素を作るのでしょうか?今回は黒田先生に詳しく教えてもらいました。ぜひ、動画でご確認ください。

 

番組内容

私たちの体の中には、酵素と呼ばれるたんぱく質がたくさん存在しています。酵素は、自分自身は変化しませんが、化学反応を早めてくれる働きを持ちます。息をしたり、何かを考えたり、体を動かしたりできるのもすべて体の中で化学反応が起きているからであり、酵素がそれを支えてくれているのです。もし、人工的に好きな化学反応を早めることができる酵素を作れたらどうでしょうか。医療や工業が大きく発展するかもしれません。今回は私たちの生活の中にもありふれたプラスチックを使って、人工酵素を作製しようと、日々研究されている京都大学 白眉センター 特定助教の黒田悠介先生にお話を伺っていきます。

 

黒田 悠介(くろだ ゆうすけ)

京都大学 白眉センター 特定助教

2016年 京都大学薬学部で博士号を取得、その後、カリフォルニア大学バークレー校、京都大学大学院工学研究科、乙卯研究所を渡り歩き、多岐にわたる有機化学の研究に従事する。白眉プロジェクトでは、これまでの研究で得た経験を基に、遷移金属錯体が有する多彩な結合形成能と天然酵素が有する高い選択性・特異性を兼ね備えた人工酵素の創出に挑戦している。

 

くもM LABとは?

くもM LABはサイエンスコミュニケーターであるくもMが様々な分野の研究者にお話を聞きに行くことで、研究者の皆様の生態を暴いていくバラエティー番組。どんな研究をしているのか?どうして研究者になったのか?など、研究者のあれこれを引き出していきます。

くもMプロフィール

大阪府立大学理学系研究科生物化学専攻。製菓会社に勤務後、『身近な科学を通じて、子供も大人も学びを遊びに』をモットーに、科学実験教室やサイエンスショーなどの活動を運営しています。

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