信頼されるアドバイザー/経験と専門知識をもとにバース大学に変革をもたらす

信頼されるアドバイザー/経験と専門知識をもとにバース大学に変革をもたらす

バース大学 リサーチ・インフォメーション/インパクト部長 ケイティ・マッケンへのインタビュー

限られた資源を最大限に活用

バース大学では、多くの人が研究のインパクトを支援する役割を担っている。それは、利害関係者との交流、REFのためのケース・スタディの準備、インパクトを示す証拠資料の作成まで、幅広い。インパクト研究開発マネージャーは、研究者が申請書を書いたり、インパクトを達成するために可能な活動を見つけす支援をする。パブリック・エンゲージメント・ユニットは、研究と一般社会のより良い関わりへの積極的な姿勢をはぐくむ。数学イノベーション研究所は、産業界が課題解決の際に数学的な価値を理解する手助けをする。政策立案者との関わりを支援する政策研究所( Institute for Policy Research)もある。 広報チームは研究のメディア掲載を企画し、研究が記事で取り上げられるのを追跡する。また、学内では「Pure」と呼ばれる研究情報システムがあり、研究者たちがインパクトを記録するのに使用されている。

各研究部門にはインパクト・ディレクターがおり、研究者がインパクトを研究の一部として捉えられるようサポートしている。支援の内容としては、インパクトのための資金調達についてのガイダンスや、適切な専門スタッフの紹介がある。RISチームはまた、インパクト・ディレクター同士のネットワークもつくり、学内での素晴らしい実践を共有できるようにしている。「限られた資源を最大限に活用し、学びと専門知識の共有を最大化しています。」とマッケンは述べ表現る。インパクトは全学を通した協働作業であると見なしており、また、それを実践することがインパクトをうまく機能させる唯一の方法であると彼女は信じているのだ。

 

 

インパクトをより刺激的に

REFの提出書類をまとめることは、困難だがやりがいのある仕事だとマッケンは言う。彼女はREF2014の有識者会議に参加したが、その経験を非常に楽しんだ。約1年間、有識者会議のメンバーたちとアセスメントに携わった。そこでの経験と学びをバース大学に持ち帰り、2021年のREFに向けて、研究者たちを支援するための強力な土台を作りたいと思っている。「大学関係者たちは、優秀な教育者、すばらしい研究者、卓越した管理者となり、さらにインパクトを与えなければならない、というすさまじいプレッシャーにさらされています。私のチームはそのようなプレッシャーを取り除き、REFの構成要素をより易しいものにしようとしています。骨の折れる仕事ですが、そのようなサポートによって彼らの負担を軽くすることもできます。それが私がこの仕事にやりがいを感じるポイントでもあります。」とマッケンは語る。

広報とインパクトの違い──現場の変化を追跡する

マッケンは昨年、パブリック・エンゲージメントタイプのケース・スタディを2件扱った。その手のケース・スタディはインパクトを示すのが大変難しく、最も困難になることがあると彼女は言う。学内には、研究の生産性が高く、メディアで頻繁に取り上げられる研究者もいる。しかしインパクトとは、何らかの変化をどのように証明するかにかかっているのだとマッケンは説明する。

一例として挙げられたのは、テロリストによる襲撃の影響下にある家族を支援する団体についての研究だ。当初、変化を示す証拠は、実際に何が変わったかではなく、メディアへどの程度の露出があったのかに絞られていた。マッケンと彼女のチームは数か月にわたってその研究の研究者たちと連携し、強固なケース・スタディを友に作り上げることに成功した。支援団体の被害家族へのアプローチが、研究者の介入によって変化したことを示せたのである。

パブリック・エンゲージメントはインパクトの達成にとても重要な役割を担っている。しかし、パブリック・エンゲージメントにより変化を起こしたことを示す証拠を集めることは難しいと、マッケンは考える。

 

 

REF がもたらした研究文化の変化

バース大学は新しく着任した学内すべての講師を対象に研修プログラムを実施し始めた。研修内容は、博士課程の管理から教育まで全範囲に及ぶ。研究と研修の一環として、インパクトについてのセッションも含まれる。しかしマッケンが気付いた最大の変化は、研究インパクトとは何か、それが何を意味するのかについての人々の意識の変化である。「全員がREFのインパクト・ケース・スタディを持つ必要などなく、インパクトは明日にでも達成されなければならないものでもない、と研究者たちが気付くことが重要なのです」とマッケンは言う。

彼女はこう続ける。「私たちは、研究の潜在的なインパクトについて全員に考えてもらいたいのです。あなたは何のために研究をしているのか? 課題は何か? あなたは現実世界のどのような課題を解決しようとしているのか? インパクトが現れるのは50年先かもしれないし、それでもかまいません。しかし、インパクトという観点について考えることが重要なのです。利害関係者と早い段階で関わりあうことで、リサーチ・クエスチョンを変更したり、プロジェクト運営グループの人選を変えたりして、実際に研究が改善されることがあるのです。」

 

プロフィール

ケイティ・マッケン

バース大学 リサーチ・インフォメーション/インパクト部長

ケイティの仕事は、大学の研究に関する正確な情報を広く提供し、効果的に活用されるようにすることである。ケイティはまた、国の研究事業評価への提出書類に関する業務計画およびプログラム運営も統率している。これらの仕事には、2014年のREFと高等教育機関のビジネスおよび地域交流に関する調査(HEBCIS)も含まれている。

リサーチ・イノベーション・サービス(RIS)に来る前、ケイティは経営学部の戦略的購買と供給に関する研究センター(CRiSPS)のセンター長を務めていた。彼女はセンターの研究・教育のポートフォリオ作成を担当していた。2014年、ケイティはREF2014の評価段階の有識者としてイギリス高等教育助成会議(HEFCE)へ派遣された。


雑誌「ScienceTalks」の「インパクト評価へ向け活気づく取り組み REF 2014から大学が得たものとは」より転載。

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