研究者 VS. 学術情報流通のプロによるオープンアクセス談義、第8話はオープンアクセスが研究者の興味の対象とならない理由について。今までの記事を通して、オープンアクセスがもたらすプラス効果を認識していただけたと思います。それでも、日常の中で、実際不可欠だと感じる瞬間は少ないのでは?そう、オープンアクセス導入を巡る大きな障壁は、日本ではOAへの“無関心派”が最大勢力であること。研究者個人にとってオープンアクセスが魅力的に映らない理由とは?多くの著名ジャーナルが定期購読モデルを貫いている理由は?そしてその現状を打破する方法について、宮川氏、林氏に語っていただきました。 オープンアクセス夜話、クロストークのはじまりはじまり。 ※聞き手:湯浅誠
研究者 VS. 学術情報流通のプロによるオープンアクセス談義、第7話はオープンイノベーションについて。気になる論文が掲載されても、高い購読料という壁に当たり結局読めない、という憂き目に合った方は多いのでは?実際大学やイノベーションの担い手である中小企業も同じ問題に直面しています。オープンアクセスは科学のイノベーションを活性化する土台としてもっと投資されるべきだという宮川氏。更にその延長で、限られた日本の研究予算の効果的な運用方法を説く林氏。同じ研究に二重投資を行うなど、予算の無駄遣いが問われる中、投資する対象を変える必要性を説きます。 いよいよ佳境に入ってまいりました。第7話のはじまりはじまり~ ※聞き手:湯浅誠
研究者 VS. 学術情報流通のプロによるオープンアクセス談義、第5話はオープンアクセスの論文評価クオリティに関する批判について。オープンアクセス・ジャーナルは著者がお金を払って論文を電子版でどんどん出版するモデルですから、OA化が進むことで世にでる論文の数は圧倒的に増えます。増えてくると問題になってくるのが、「どれがほんとに良い論文なの?どの論文を読めばいいの?」ってこと。実際、自費出版モデルという性質上、科学のクオリティを担保するという点で、オープンアクセスに懐疑的な意見をもつ人も多くいます。「オープンのほうがクオリティは上がる!」という宮川教授と、「とはいえ、オープンアクセスは金儲けのためにクオリティを度外視する悪いジャーナルが出やすいビジネスモデルでもある」という林氏。
研究者 VS. 学術情報流通のプロによるオープンアクセス談義、第4話はジャーナルのオープンアクセス化に対する研究者自身の心理的バリアについて。オープンアクセス化がもっと先に進んで、そもそも今の「論文」という形態そのものが全く別のものに変化していくとき、研究者はその変化を受け入れられるのか?というお話です。今のオープンアクセス化も、実は一番嫌がっているのは今までの慣習を変えたくない研究者なんだという林氏。そんならもう紙ジャーナルは禁止にしちゃったほうがいいんだ、という宮川氏。
研究者 VS. 学術情報流通のプロによるオープンアクセス談義、第3話はそもそも科学の研究成果ってなんぞや?という話。最近STAP研究問題を皮切りに論文のコピペが大きな話題になっています。もちろんコピペはNGなんですが、一方で発見をいち早く発表することが求められる研究分野では、イントロのお決まりの概念紹介文なんて正直どうでもいいから結論だけさっさと発表したいという考え方があるのも事実。いやいや、科学とは新しい概念や哲学のイントロダクションそのものなんだからそこをサボったら本末転倒でしょう、という考え方もまた正しい。いずれにしても、最初からカンペキな論文を書かなくていいなら、ヴァージョン1を出版しておいてあとで修正版ヴァージョン2で加筆すればいいので、時間がないからコピペで文章をどこかから拝借して…なんてことも起こりにくくなるはずで、そのための仕組みとして「クロスマーク」という新しい方法があると宮川先生は語ります。
研究者 VS. 学術情報流通のプロによるオープンアクセス談義、第2話は従来型の紙ジャーナルが持つ「紙面の制約」問題です。研究者の立場から、宮川教授はジャーナルに紙面の制約、つまり掲載する論文の本数の制限さえなければ、論文のリジェクト数が減る。電子化とオープンアクセス化によってアクセプトのハードルが低くなれば、研究者が無意味な再投稿のワールドツアーに苦しめられることはなくなると語ります。一方、林氏は情報流通の観点から、論文が大量に世に出ることで起きる混乱を危惧する議論について語ります。
先日動画を掲載しました、研究者 VS. 学術情報流通のプロによるオープンアクセス談義。Science in Japanガチ議論サイトに掲載された、藤田保健衛生大学教授、宮川剛先生の「紙ジャーナルは悪!オープンアクセスを義務化せよ!」という新しくも過激な提言と、それを受けたNISTEP上席研究官、林和弘氏のクロストークに、読者のみなさんから異論反論を数々いただきました。